多くの人は、「人に認められたい」という思いを持っています。しかし、その思いが強すぎて次第に人が離れていってしまう、という人がいます。
承認欲求が強い人の特徴の一つに、周囲を巻き込みがちであるという点が挙げられます。「周囲に認められたい、褒められたい」という思いが強いあまり、どうしても周囲を巻き込んでしまうのです。それだけに、承認欲求が強い人との付き合い方は、周囲の人間にとって難しいものです。
どうして周囲を巻き込んでしまうのか
なぜ承認欲求が強い人は周囲の人を巻き込んでしまうのでしょうか。それは、人に認められたい思いが強いため、他者からの評価を求めるからです。たとえ自分自身、うまくやった、と思っていても満足できず、他人から称賛されることによって自分の価値を確認するのです。
人から「すごいじゃない」とか「さすがだね」などと褒めてもらうのは嬉しいものです。しかし、頻繁に「褒めてほしい」という欲求に応えるのは簡単なことではありません。心底感心するようなことであれば人は心からの賛辞を贈ることができますが、そのような出来事は毎日起こるものではないでしょう。それなのに毎日のように賛辞を求められてしまってはウンザリします。そのような人は、次第に職場や家庭で疎まれていくようになります。
承認欲求が強い人には寂しがり屋が多い
承認欲求が強い人の特徴は、他にもいくつか挙げられます。寂しがり屋な人が多いのも特徴です。常に人から評価されることを意識しているので、人と繋がっていることを確認できないと不安になるのです。
上司のように地位がある人の場合は、早く帰りたい部下を頻繁に飲みに誘って、自慢話に延々付き合わせます。部下の方では断りきれずに渋々付き合っているのに、それを察してもくれず、どんどん嫌われていくのです。
恋人関係や友人関係の場合には、頻繁に連絡を取って、相手の関心が自分に向いていることを確認しようとします。忙しいときに電話してきてダラダラと無駄話をするので相手が切ろうとすると、「話を聞いてくれない」と怒り出すなど、自己中心的です。
このような場合、相手の欲求にいつまでも応えて付き合い続けるのは考えものです。適度な距離感がない関係は、人を息苦しくさせます。結果的に相手が離れて行ってしまうようでは、承認欲求が強い人はどんどん孤独になってしまいます。負担に感じてしまう場合は、距離を置いたほうがよいでしょう。たとえ一時的に相手に不快な思いをさせたとしても、一方の承認欲求に延々付き合うことはやめたほうがよいでしょう。そうすることによって、長く付き合えるケースがあるはずです。
否定されたくない、という思いが強い
承認欲求が強い人は承認されたい、認めてほしい思いが強い人なので、否定されることを嫌います。討論で他人が自分の意見に反対意見を述べると機嫌が悪くなったり、相談ごとを持ちかけた相手が自分の意にそぐわない回答をしてしまうと怒り出したりします。ひとことで言うと「面倒くさい」人物です。意見を否定されただけなのに、自分自身を否定されたような気がするせいかもしれません。
しかし、そのような人物が討論の場にいると周囲の人はだんだん自分の意見を言うのが怖くなってきます。上司の場合は特に、部下が上司の顔色をうかがうようになります。
このような場合には、相手を褒めながら自分の意見を述べる方法が有効です。具体的には、相手の意見をいったん認めたうえで、「その方法もよいけれども、もしかしたらこういう方法があるかもしれません」という言い方をすることにより、相手のプライドを傷つけないようにします。
目立ちたがるので、出しゃばりになりがち
目立ちたがりも、承認欲求が強い人の大きな特徴です。目立ちたがりは悪いことばかりではありません。人よりも目立ちたい、という意欲から、仕事へのモチベーションが高い上昇志向の人も多いのです。そして、そのための努力を地道に続けていて、人の注目を浴びるに値する中身を持っている人も少なくありません。
ただ、中には中身が伴わない単なる目立ちたがりもいます。そのような人の場合、ただの出しゃばりになりがちです。たいした改善策もないのにしゃしゃり出て、仕切ろうとして周囲の人を不愉快な気持ちにさせるタイプです。このような人に対する付き合い方は、取り合わないことです。中身が伴わないので、実際に仕切るような力がない場合が多いのですが、ある程度権力をもっている人の場合は面倒です。いずれにしても、この手のタイプの人にはまともに取り合わず受け流すことで回避しましょう。その場では仕切らせておいて、後で修正できるものならば、修正するのがよいでしょう。大切なことは、承認欲求が強い人はプライドが高いので、人前で恥をかかせないことです。このタイプの人は、たとえ間違っていても人前で間違いを認められないので厄介ですが、そういう人なのだと思って対処したほうが楽です。
承認欲求が強い人との付き合い方は特徴を捉えて、「人に認められたい」思いに応えすぎない
承認欲求が強い人の特徴を捉えて付き合うことは、お互いの関係改善に役立ちます。承認欲求が強い人の「人に認められたい」という思いを他人が完全に満たすことはできません。ですから、すべてに完璧に応える必要はないのです。付き合い方を考える上で大切なことは、相手の欲求に無理をして付き合わず、適度な距離感を意識することではないでしょうか。そうすることが、自分自身の為でもあるし、最終的には相手の為にもなるのです。