看護師としてできるだけ楽に働きたいと考えたらどこで働いたら良いのでしょうか。看護師は医療施設や介護施設で働くことが多いですが、訪問系で働いたり、それ以外のやや特別な働き方をしたりすることができます。医療施設の場合には診療科によって大変かどうかが左右され、介護施設の場合には施設の種類による違いが大きいので確認しておきましょう。
4つの観点から考える看護師の仕事
看護師の仕事が楽かどうかを判断する上で4つの観点から考えるのが効果的でしょう。看護師の仕事をしていて大変だと感じるポイントとしてよく知られているものが4つあるからです。体力的要求、精神的負担、業務量の多さや難易度、時間的な拘束の厳しさという4つの角度から診療科や仕事が楽かどうかを考えることができます。
看護師の仕事はしばしば力仕事を必要とし、体力的要求が大きいことがあります。代表例としてよく知られているのが訪問入浴サービスです。高齢者を抱え上げて浴槽の中に入れ、お風呂から上がりたいときには抱えて出してあげなければならないこともよくあります。そうでなくても車椅子生活になっていると抱きかかえてベッドから車椅子に乗せ、重い車椅子を押して移動しなければなりません。同じような状況は特別養護老人ホームでもよく見られることです。整形外科でリハビリテーションをするときや、保育園で子供の世話をするときにもかなりの体力を要求されるでしょう。
精神的負担は看護師の仕事には付きものであり、ストレスを感じながら働いている人も少なくありません。コミュニケーションを取りにくい高齢者が多い精神科や老人ホームは働きづらいという人がいます。また、大病院の病棟や人工透析科などでは治療による改善の見込みがない人たちの看護をする必要があり、ターミナルケアともなると精神的に辛くなってしまうこともあるでしょう。一方、コールセンターのようにほとんどが苦情への対応になる現場や、美容外科のように要求が大きい顧客がしばしば現れる現場もストレスを抱えやすくなっています。
業務の量や難易度についてはかなり現場による違いがあります。技術力では人工透析科やオペ室で要求が大きく、時間あたりの業務の多さでは救急外来やICUはかなり厳しくなることが多いでしょう。また、治験コーディネーターや臨床開発モニターも業務量が多くてこなしきれずに苦労する人が多いことで知られています。
時間的な厳しさでも治験コーディネーターや臨床開発モニターは業務をこなすために夜中や休日も働かなければならないケースが多いので大変になりがちです。美容外科もノルマがあると顧客獲得のために寝る間を惜しんで営業活動をしなければならないことがあります。
このような観点で比較してみると自分なりに働きやすい職場が見つかる可能性があります。ただし、この4つの観点だけで完璧に楽な仕事を見つけられるというわけではありません。どの項目が自分にとって楽か大変かを考える上で比重が大きいかを考慮することも必要です。それに加えて、仕事内容に応じた適性も影響を与えます。どのような形で働けば自分にとって楽なのかというのもイメージしながら診療科や施設の種類、あるいは他の仕事をする選択肢を考えてみることが必須です。
クリニックで働くなら
医療施設で働きたいというときには病院よりもクリニックの方が一般的には楽です。症状も申告であることは少なく、高度な医療機器を扱う必要もあまりありません。特に無床のクリニックの場合には夜勤もないので時間的にも体力的にも負担が少なくなります。その中でも楽と考えられるのが眼科、歯科、心療内科です。
眼科は目の病気や目の不自由がある方が来院しますが、身体を動かせないような不自由さを負っているわけではなく、精神的にも特に患ってはいない方が多いでしょう。弱視などで本当に歩けないという人も自分なりに歩く方法を知っている方が多いので身体介助が必要になることはまずないのが魅力です。体力的な負担がないだけでなく、重篤な患者もほとんどいないのがクリニックでは普通なので精神的な負担もあまりありません。検眼などの特徴的な機器の扱いを学ぶ必要があるのでやや業務的な負担はありますが、全体としてかなり働きやすい環境が整っています。
歯科の場合の患者も不自由があるのは歯だけというのが一般的です。歯科の場合にも身体介助は不要で、精神的にも健全な患者がほとんどなので精神的な負担はありません。スキル的にも要求はあまりありませんが、患者が大勢来たときに残業が発生する可能性はあるでしょう。
心療内科は心に悩みを抱えている程度の患者がやってくることが多いのがクリニックの場合の特徴です。重篤なケースの患者は病院に行くことが多いので、ほとんど精神的な負担もなく対応できます。身体介助もなく、基本的には採血や点滴程度ができれば十分なのでスキルの要求も少ないでしょう。予約制の現場が多いので残業も少ないのが一般的です。
介護施設で働くなら
介護施設では身体介助が必要なケースが多いので体力的な負担は大きくなりがちです。また、高齢者を相手にするので気遣いをしたり、コミュニケーションを取りづらかったりするという点で精神的な負担は多めになります。その中でも比較的楽なのがデイサービスです、デイサービスは医療行為を一切行わないのが基本なので医療スキルを求められることはなく、いざというときに応急処置ができる程度で問題ありません。要介護度が低くてまだ自分で生活できる状態の利用者が多いため、身体介助の必要性も低く、十分に話せることが多いので精神的な負担も少なめです。また、時間もしっかりと定められているので残業もほとんどないので働きやすい環境があります。
それ以外で働くなら
医療施設や介護施設以外にも多様は職場があります。検診センターや採血室、コールセンターや保育園といったものに加え、臨床試験に関わる治験コーディネーターや臨床開発モニターも代表例です。この他にも派遣看護師がよく選ばれるツアーナースやイベントナースもあります。この中でも特に楽なのが検診センター、イベントナース、ツアーナースです。
検診センターでは基本的には健康診断に来た人を案内するだけの仕事であり、必要に応じて採血などの基本的な看護スキルを発揮すれば良いだけです。健康診断に来る人は大半が健常者なので体力的に大きな負担はありません。ただし、接客業としての性質を持つので言葉遣いなどには気をつける必要があり、あまり対応が悪いとクレームを付けられてしまうことがあります。その点だけ気をつければ時間的な拘束も少なくて楽に働ける仕事です。
イベントナースは各種イベントのときに医務室で待機していて、たまに応急処置をするだけという簡単な仕事です。イベントの種類によっては怪我人が多いですが、困ったときには救急車を呼んで対応するだけなのでそれほど大変なことはありません。
ツアーナースについても修学旅行などに付き添いをするのが仕事であり、体調が悪くなったツアー参加者の応急処置をすることになります。行き先によっては怪我人が出ることもありますが、バス酔いへの対応程度で済んでしまうこともほとんどです。ツアーに合わせて仕事をするので時間的には拘束されるのが注意点でしょう。
まとめ
楽な診療科・仕事を探して働きたいという看護師は4つの角度から仕事の解析をしてみましょう。自分が体力、精神、業務、時間のどれに重きを置いているかを考えつつ、総合的に楽そうなものを探すのが大切です。適性の問題もあるので、仕事の具体的な内容も考えた上でどこで働くかを決めましょう。